【利息について】
年利率10%を超える借入のある方は、まずは相談を!
超優良企業であっても年12%を超える利率の借入があれば、利益の
すべてが利息の支払にあてられてしまうという試算があります。
個人であれば、年率10%を超える借入があれば、いずれは破綻する
と考えるべきです。
司法書士の介入により将来の利息のカットの可能性もあります。
【手続の選択の目安】
「どの手続をとることが、債務者にとって一番よい選択肢か?」
債務整理は、この判断が非常に重要になってきます。
これは、収入の有無や額、職業、生活の状況、家族構成、財産、
債権者の数等を総合的に判断して決めていきます。
残念ながらご本人の希望に100%そえるものではありません。
絶対に家だけは手放したくないと言っても支払が不可能であれば
あきらめざるを得ません。
そういった相談をよく受けますが、それは「お金 を持たずに
おもちゃ売り場でダダをこねている子供」と変わらないことです。
項 目 |
債 務 の 状 況 |
自 己 破 産 |
借 金 の 返 済 が 不 可 能 |
任 意 整 理 |
<返済をしていくことが前提> 利息制限法の利息に引き直して額を確定し、その確定した元本を一部カットし、その額を3(〜5)年間で返済していく
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特 定 調 停 |
利息制限法の利息に引き直して額を確定し、その確定した元本をカットし、その額を3(〜5)年間で返済していく
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個人債務者再生 |
利息制限法の利息に引き直して額を確定し、その確定した元本を一部カットし、その額を3(〜5)年間で返済していく住宅を残したい場合は住宅ローンは従来どおり支払いを続ける
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【返済の目安】
収入月額 − 生活費 = 返済原資
・まず、1ヶ月あたりの返済原資で借金を3〜5年で返済できそう
ならば、「返済が前提の手続」である特定調停や任意整理を
考えることができます。
・次に、1ヶ月あたりの返済原資で返済できそうになければ、
個人債務者再生による元本カットをし、3(〜5)年で支払えるか
どうかを考えます。
・最後に、それでも返済できそうになければ、自己破産を
選択せざるをえないこととなります。
【手続の目安】
項 目 |
債 務 者 の 状 況 |
自己破産 |
どう考えても、借金の返済は不可能 |
免責不許可事由がない |
任意整理・特定調停 |
失いたくない財産があり、破産をしたくない |
債権者数が少なく、取引期間が長い |
個人債務者再生 |
失いたくない財産があり、破産をしたくない |
債権者数が多く、取引期間が短い |
ただし、財産をすべて守った上で、借金を整理できる魔法のような
方法はありません。それほど世の中は甘くありません。
痛みの伴わない債務整理はないものとお考え下さい。
保証人がいる場合等、迷惑をかけてしまうので破産は出来ないと
よく言われますが、とっくに迷惑をかけている事をお忘れなく。
債権者の立場にたてばそのために保証人を採っているのですから。
保証をした以上、保証人がそれなりの責任を負わなければならない
のは大人として当然のことです。そして、親類や友人に迷惑をかけた
事を一生の十字架として背負っていかなければならないのです。
是非、そうなる前に専門家にご相談される機会をもてるよう
祈るばかりです。
【メリットとデメリット】
項 目
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メリット |
デメリット |
自己破産 |
借金がゼロになる |
不動産等の財産を失う |
官報に掲載される |
本籍地の破産者名簿に記載
(但し、免責によって復権) |
7年間の免責制限 |
破産者では就けない職業がある
(但し、免責によって復権) |
任意整理 |
裁判外の手続 |
相手が話し合いに応じない場合もある |
利息制限法引き直し以上の減額は難しい |
特定調停 |
自分でもできる |
利息制限法引き直し以上の減額は難しい |
費用が安い |
債権者の数が多いと、結構大変 |
手続も比較的楽 |
調停が成立しない場合もある |
不動産等の財産は失わない |
調停調書等が債務名義になるので、支払を怠ったりすると、強制執行(給料差押等)をされる可能性がある |
個人債務者
再生 |
借金の元本を合法的にカットできる |
費用が高い |
手続が煩雑 |
(住宅ローンの支払可なら)不動産等の財産は失わない |
官報に掲載される |
小規模個人再生のみ、再生計画につき債権者による決議がある→否決されたら破産になることもある |
【債務整理後の将来設計】
債務を整理した後に一番大切なことは、収入が支出を下回らないように長期的な対策を立てることです。
生きがいや夢を実現しつつ生涯安心して生活できる計画を作ることなのです。
そのためには「収入を増やす」「支出を削減する」の2つをうまくコントロールする必要があります。
大事なことは債務整理が出来たからといって、借金をはじめた頃と変わらない収入しか得られないという事実をよく考える事です。
例えば、3年間儲からなかったラーメン屋さんの収入は明日も明後日も来月も来年もおそらく変わりません。生計を維持するために、出直すことも必要かもしれません。決して神風は吹きませんから・・・。
残念ながら私達にできるのは、今ある借金を整理するお手伝いにすぎません。
そこから先の長い人生はやはり自分で戦っていくしかありません。誰かに頼って生きていこうとしても誰も助けてくれません。自分の人生が上手くいかないことを世の中や他人のせいにしたりしているうちは、残念ながら上手くいかないと思います。
人生は自分で切り開くものだからです。
「収入を増やす」ためには、土日も休まず働くしかないのかもしれません。
「支出を減らす」ためには、「ご飯にふりかけだけ」の生活を強いられるかもしれません。例えは極端ですが、二度と借金地獄に陥らないためには、そのくらいの覚悟は必要だと思います。その覚悟がないのであれば、今ある借金の整理そのものが無意味となってしまいます。
ご健闘を祈るばかりです。
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